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Akeru's World of Paintings鳥図明児(ととあける)のイラストコレクション

2008 Akeru's Exhibition "Houses of Goa 2"
at Kala Academy Art Gallery, Campal, Panaji, Goa, India(April 2 - April 6, 2008)
2008鳥図明児(ととあける)作品展「ゴアの家々2」
(インド、ゴア州、パナジ、カラ
アカデミーアートギャラリーにて、2008年4月2日〜4月6日
カラ・アカデミー体験記 2008
PART 2 言葉をこえて伝わるものってあるんじゃないかな

個展はじみでいいのだ

4月2日。初日は静かに始まった。
派手なオープニングパーティもテープカットもない。
しかし、授業が終わったところとおぼしき生徒やその保護者が次々とギャラリーに入ってきてくれる。街中の画廊ではこうはいかない。
大勢の人がビジターズブックに
「きれい」
「ゴアの感じがすごく出ている」
などと書いてくれた。

午後、ファルデサイ博士をはじめとするカラ・アカデミーの人たちが見に来た。
なんと言っても、ギャラリー使用許可をだしたファルデサイ博士の、好意的なコメントがうれしかった。

『すべての絵が美しくノスタルジーを感じる。絵のスタイルはほかに類を見ない。おめでとう!』
遠くからのお客様

ドタドタドタ!
7時を回り、帰ろうとしていたら、
ロビーを横切って大慌てで来る人たちがいる。

ゴアで走っている人を見たのは、
後にも先にもこのときだけである!


色白のおじいさんとおばあさん、それに眼鏡をかけサルワカミーを着た女性の3人だった。遠くから来られたのですか、ときくと眼鏡の女性が、
"YES!!!"

それで、警備員にもう一度あけてくださいと頼む。警備員は快くうなずく。
警備員はゆっくりロビーを横切る。
とてもゆっくり。

お客さんを待たせて私は気が急いているというのに。

そのお客は本当に遠くからのお客だった。おじいさんとおばあさんははるばるポルトガルから来たのだという!そして絵を買うという。信じられない。

インドにせかせかした人がいるなんて

2日目。アカデミーの生徒たちは、授業と授業の間にやってくるのだろうか、わーっとやってきてわーっと去って行く感じがする。しばらく賑わった後、ギャラリーががらんとなり、やれやれと椅子に座ったところに、不思議な男がふらりと入ってきた。

手に紙袋を提げ、服装はてんでおかまいなし、目つきは鋭い。インド人らしからぬせかせかした動きでギャラリーを一巡り。
それから私の方にやってきて、
「絵をかいたのどなた?」


彼は ズィー・ニュース というテレビ局の記者アニールだった。翌日にもカメラマンをつれてくるという。(しかしこの日、ゴアで政治事件が起こり、すべてのメディアは絵の取材どころではなくなった。)

ゴアの道路は危ないのだ

4月4日、ピオの記事がカラー写真付きでタイムズ・オブ・インディアに載る。
「ゴアの美を日本流にとらえて」
記事のすぐ右上には恐れ多くもインドのシン首相の顔写真が。
(なんちゃって、関係ないです。)

ところがこの日、個展はあわや中止に追い込まれようとしていたのである!

何も知らずに朝、私と海王はジョンのいとこ、アルフレッドの家へ行った。
アルフレッドはパナジの会社で働いているので、平日は毎日カンサウリムからパナジへ通っている。そこで、朝はアルフレッドに送ってもらうことになったのだ。

アルフレッドは運転がうまい。
ゴアでは前をのろい車が走っていると、警笛を鳴らしてどんどん追い越して行くのが普通。
パッシングして無理な追い越しをするドライバーも多いので、めちゃくちゃ危険だ
アルフレッドはやたらパッシングはしない。そのかわり、確実に追い越せる機会が来ると果敢に追い越す。確実に追い越して行くので速い。アルフレッドの性格だろうか。彼の仕事は、経営コンサルタント会社の支社長である。
個展中止?!

「ギャラリー使用料が未払いになってますねえ」

は?


カラ・アカデミーに着いて事務所へ行ったとたん、寝耳に水の宣告。
使用料は前年中に払っている。そもそも、払わなければギャラリー使用許可が出ないではないか。何かの間違いだろう。

会計責任者に会う。
間違いではない、もう1万ルピー払うように、と言われる。どういうことだろう。

1万ルピーは大金である。
(日本円にしておよそ2万6千円であるが、インドは生活必需品の物価が安いので、感覚的には10万円くらいと思ったらよい。)
私の財布には3千ルピーしかない。

「月曜日に必ず払います」というと、
「オタクの個展は日曜日まででしょ。開催期間中に払ってもらわないと困るんですよ。今日は金曜日なので今日中ですね。
払ってもらえないのなら展覧会は中止してもらいます。

料金を払わずに個展をするな、というのなら、初日に言ってくれればよかったのだ、と怒りが込み上げてくる。

責任者は指先でチョイと眼鏡を持ち上げた。
「お宅の個展にたくさんの人が来てるじゃないですか。助けてくれる人はいないんですか。」
政治家が親戚にいるのだから助けてもらえ、と言っているように聞こえたのは、私の考え過ぎだろうか。

カラ・アカデミーは国の機関なので、融通が利かないのかもしれない。
私はアルフレッドの名刺を出した。
「主人のいとこがパナジで働いています。彼に連絡を取ってください。」

アルフレッドはすぐにやってきて、1万ルピーを払って解決してくれた!
ありがとう〜〜〜アルフレッド!
た、た、たすかった〜〜〜!


「4月からギャラリー使用料が値上げされたんだよ。」
アルフレッドが説明してくれてようやく理由がわかった。それにしてもえらい値上げである。
ゴアに「ハウルの動く城」があった

ピンクのシャツに短パン、眼鏡をかけた知的な人物が入ってきた。さっとギャラリーを一周すると、私に、

「ジェラードです。」

ジェラード・ダ・クーナ、ゴアを代表する建築家だ。
アイスクリームじゃないからね。
私より少し年上だ。ゴア・トゥディに載った彼のインタビューを読んだことがある。顔を知っているつもりだったが、インタビューでは眼鏡をかけていなかったので、わからなかったのだ。 ヴィナヤクから住所を聞いて招待状を出しておいたが、まさか来てもらえるとは。

ジェラードはパナジから北に車で15分ばかりのところに、自費で設立したゴアの家博物館を持っている。そこに招待してくれた。

翌朝9時45分、カラ・アカデミーまで
ジェラード自身が車で迎えにきた。
お抱え運転手が来るだろうと思っていたので、少し驚いた。
おまけに車!なんとスズキマルチ(スズキがインドで合弁生産している軽自動車)だ。著名人なのに少しも飾らず、威張らない人柄がうかがえた。

博物館は、アニメ「ハウルの動く城」の城ような、面白い形をしていて、中にはゴアの伝統的な家の資料がぎっしり。周りが木々に囲まれているのもいい。すぐに個展会場に戻らなければならないのが残念でならない。

ジェラードは、彼の博物館には欠けている部分があると言う。
一つは小さな家。大地主の大きく贅沢な家の資料はたくさんあるが、小さな家のものはない。
もう一つは、ヴェジテーション。平たく言うと、家の周囲の自然、環境との調和だ。
だから、私の描いた小さな家や樹木に囲まれた家の絵を、博物館に展示したいのだそうだ。
信じられなかった!

こ、光栄ですっっっ!

ジェラードがヴィジターズブックに書いてくれた心にしみるコメント
『アーチストの目を通して家々の魂を見るのはうれしかった。また、ランドスケープも美しくとらえられている。』

Museum Houses of Goa/ゴアの家博物館はこちら
象頭の神様も来たのだ

初日に取材に来てくれたのは、GOA365(英語のケーブルテレビ)のレジーナ女史だった。レジーナ女史は若くて魅力的な女性で、黄金色の短いチュニックとパンツ姿だった。テキパキしゃべる女史とギャラリーを一周する。


「私が描いた家の中には、誰も住んでいない家がいくつもあるんですよ。」

「この家は小さくてかわいらしい家。でも誰も住んでいない。バスルーム一つ作れば、とてもすてきなコテージになるのに。」

「この家はこわされてしまいました。今、オーナーが新しい家を建てています。」


何気なく答えていたら、いつの間にかビデオに撮られていた。う〜む、デキル!

Interview by GOA365/このときのインタビューはこちら




4日目にドゥーダルシャンの取材チームが来た。カメラマンのガネーシャは優しい目をした人。私が絵の前で、

「屋敷はずいぶん壊れていて寂しそうだった。だから私は椰子の木を書いてあげた。ほら、友達だよって。」

と話すと、象の頭の神様の名前を持つ彼は、にこっと微笑んだ。

最終日、ズィー・ニュースのアニールもついにカメラマンを連れてやってきた。
「絵の前に立ってしゃべってみて」

「この家は誰も住んでいなくて、じつは壊れているんです。
おまけに目の前に商業ビルのが建って、それはそれはしょげてた。だから私は、『心配しないで。私が描いてあげるよ』と言ってあげたんです。」


アニールは何度もうなずいていた。
ペンにパワーを

最後にもう一人、びっくりするようなお客があった。

それはレモ。

彼はインドを代表するミュージシャン。インド・フルート奏者であり、ロックからレゲエ、ゴアの民謡まで幅広い音楽活動をしている。絵やエッセイも書く。
「超」のつく有名人だっていうのに!
いやー、びっくり!


黄色のTシャツにイキな眼鏡、首元には高そうなイヤーフォン。じかに見るレモは、50を超えているはずなのにとても若々しく、カリスマ的魅力があった。
コメントまで書いてくれた!

『日本の精妙さとゴア建築の完璧なブレンドだ。あなたのペンに幸運とパワーを。』

じ〜〜〜ん。。。

REMO FERNANDES - THE OFFICIAL WEBSITE/レモ公式サイト
(レモの音楽は彼のサイトで試聴できます。)
喜びの波動

私の絵を、私が思っていた以上に、ゴアの人たちは喜んでくれた。それには驚いたし、本当にうれしかった。

喜びの波動はまわり中に広がっていく。
芸術かどうかなんて、どちらでもよかったのだ。
人に喜んでもらうことほどの幸福があるだろうか。


海王の数独はあの守衛さんの心に一生残るだろう。
ゲームやスポーツや音楽は言葉を超えて人を結びつける。
そして絵でも。
そんな希望を感じた個展だった。

今回も多くの人たちのお世話になり、助けてもらった。本当にありがたいことだ。
そして、来場してくれた人たちにも心からありがとうを言いたい。

Thank you very much! ありがとう!







Akeru Barros-Pereira (鳥図明児)

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